パラダイムとは
パラダイムとは、「物事の見方の大きなルール」や「当たり前とされる考え方の枠組み」のことです。たとえば、昔は「地球が宇宙の中心」と考えるのが当たり前でしたが、今では「太陽が中心」という考えが当たり前です。このように、あなたが何を正しいと思い、どう研究するかを決める背景にある考え方全体がパラダイムです。パラダイムが変わると、世界の見え方や学問の進め方が大きく変わります。
パラダイムは存在論、認識論、方法論を含む包括的な哲学体系です。次に、存在論、認識論、方法論について説明します。
存在論とは
存在論とは、「この世界には何があるのか」「ものの正体は何か」を考える学問の視点です。例えば、「心はどこにあるの?体と別なの?」「数字って実際に存在するの?」など、世界を形作っているものの基本を探ります。科学でも、「見えるものだけが存在するのか」「見えないものも存在すると考えるのか」によって研究の方法や結論が変わります。世界をどう捉えるかの土台となる考え方です。
認識論とは
認識論は、「人はどうやって知ることができるのか」「知っているってどういうことか」を考える視点です。同じ出来事でも、人によって気づき方や理解の仕方が違います。「本当に正しいことをどうやって確かめるの?」「自分の見たものは信じていいの?」など、知識の成り立ちを考えます。研究するとき、「観察が大事」か「話を聞くことが大事」かなどを決める根本の考え方です。
方法論とは
方法論とは、「どう調べるのが正しいのか」という研究の進め方やルールを決める考え方です。たとえば、「アンケートで数字を集めるのか」「話を聞いて深く理解するのか」など、研究で使う方法を選ぶ基準になります。存在論や認識論の考え方によって、ふさわしい調べ方が変わるので、それらとつながっています。効率良く、納得できる答えを出すために必要なものです。
パラダイムについての理解に役に立つ参考書
- クレスウェル、クレスウェル・バイアス(2022)「6 質的研究に哲学と理論を取り入れる」『質的研究をはじめるための30の基礎スキル おさえておきたい実践の手引き』新曜社
- プラサド・プシュカラ(2018)『質的研究のための理論入門―ポスト実証主義の諸系譜』ナカニシヤ出版
- リンカン Y.S. & グーバ E. G.(2006)「第5章 パラダイムに関する論争、矛盾、そして合流の兆候」デンジン N.K. &リンカン Y.S.(編)『質的研究ハンドブック 1巻 質的研究のパラダイムと眺望』北大路書房